今回は、野球の練習や試合時における「声かけ」や「声出し」の意味・重要性についてお伝えしていきます。
昔から野球界では、「大きい声を出そう!」「返事ははっきり!」など声を出すこと、声をかけることが重要視される傾向があります。
もちろん私も声を出すこと、声を掛け合うことは大切だと思っているのですが、ではどのような声の出し方、声のかけ方が必要なのか?
そもそも何の為に声を出す必要があるのか?
声出し・声かけの目的についてもお伝えしていきます。
野球における声出しの意味:科学的根拠
大きな声を出すと、一時的にアドレナリンの分泌量が多くなり、体と脳が活性化します。
体の活性化とは、筋力のアップを意味し、脳の活性化とは、集中力、判断力のアップを意味します。
科学的には、5〜6%程度の筋力の出力アップが期待できます。
これを「シャウト効果」と言います。
人間は常に100%の力は発揮出来ないようになっています。常に100%で活動した場合、体が壊れてしまうのです。
ですからこの余力を引き出すスイッチが大きな声だしなのです。
この余力は俗に「火事場の馬鹿力」と言われるものです。
緊急時に発揮出来る力なのですが、スポーツにおいてはこの秘めた力を引き出すためにも『大きな声だし』が必要なのです。
野球における声出しの意味:集中力を高める
基本的に野球というスポーツは受け身のスポーツ。
だからこそ準備が大事です。
ピッチャー以外は全て自分からスタートではなく、相手やボールに合わせることが必要なスポーツ。
バッターはピッチャーが投げたボールに対してタイミングを合わせてボールを打ちます。
野手はバッターが打った打球に対して動いてボールを捕ります。
全て自分から合わせなければならないんです。
野球における声出しの意味:指示を伝える
野球の試合ではボールをずっと見て動くことができない場面が多々あります。
まずは攻撃時の声出しについて考えていきます。
ランナーで次の塁に向かって走っている時には、自分でボールの行方を見ることができない場合があります。
例えば2塁ランナーがセンター前に飛んだ打球を見ながら走ることはできないし、振り向いて見ながら走ったら遅くなってしまいます。
そんな時は三塁コーチャーの声や指示が、ベンチからの声が大切になります。
今の状況を掴むのはコーチャーの声が頼りなんです。
次に、守備についている時の声出しについて考えていきます。
ボールが飛んでいる方向、守備位置の指示、相手打者の打球方向の傾向など各選手が気づいたことをお互いに確認し合うことが、失点を防ぐためには大切なことです。
守っている選手同士だけではなく、ベンチにいる選手でも、守っている選手に気づいた点を発言することができます。
意外と守っている選手は気づいていない部分があり、例えわかっていても言って損することはありません。
逆に、言わないで負けてしまうこともあります…。
野球における声出しの意味:声もスキルの1つ
声を出すというのも打ったり、投げたりするのと一緒で、1つのスキルです。
その必要性を感じることをできなければ、声を出すということの実践にはなかなか繋がらないと考えています。
1つ1つ声を出す必要性や意味を指導者が選手自身に落とし込んでいくことで、活発な声が溢れる、コミュニケーションあふれるチームづくりに繋がります。
プロ野球・読売ジャイアンツ元木大介コーチがスポーツで声を出すことについて、以下のように発言しています。
俺はずっと「声を出せ!」と言ってきた。
「声を出せ」というのは、ただ元気よくっていう意味じゃない。野球を覚えろってことだよ。
声を出せない選手というのはボーッと見ているだけ。考えて試合を見ていないと声は出せない。
巨人の若い頃に教わった。試合に集中して状況を把握しないと声は出せない。
僕はヤジも言ったけどね。配球も確認して、終盤の代打の準備もできる。強いチームは声が出るよ。
(引用元 朝日新聞デジタル記事⇒元木大介監督、指導熱を上昇 U12世界少年野球で優勝)
まとめ
今回は野球の「声出し」について書きました。
よく少年野球では「声出せ!」と監督やコーチから指導される場面をよく見ます。
実際私も、声出せとよく怒られました。
声出しにも色々な意味があります。
しかし、ただ声を出すだけではなく、何のために声を出すのか考えることが出来れば自然と声が出るのではないかと思います。
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